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お知らせ

2021年05月01日

4年目を迎えました。

私がよく行くスーパーマーケットでのことです。
その店のレジに、いつもとても感じのよい女性がいました。

その女性はレジを打つ前にまず、買い物をしてくれたお礼を明るい声でお客さんに言い、それから一つ一つの商品の値段を、お客さんと一緒に確かめるように、お客さんに話しかけるように口に出して言い、レジを打ち終えたら最後にもう一度、ありがとうございますとやはり話しかけるように言う女性でした。

この女性のところで会計をするたびにこちらの気持ちまで明るくなるので、空いていれば私はいつもその女性のところで会計をしていました。

ところがある時から、その女性の声にどこか鋭く、とがった調子が感じられるようになりました。
さらに、カードの提示など支払い手続きにまごまごする買い物客に対して、どこか叱責するような調子で誤りを正したり、いらいらした様子で待機したりする姿を見かけるようにもなったのです。

そんなある日、私はその女性が別のレジの女性と話しているのを耳にしました。
「○○と書いてあるのに……」
「どうしてそのとおりにしてくれないのかね……」

コロナ禍です。
お客さんにもいろいろな人がいると思います。
プライベートでの悩みなどもあるかもしれません。
そういう日々を送る中で心も体も疲れて余裕を失うことは誰にでもあります。
ですから、この女性だけが悪いわけではありません。

それでも、この会話を聞いたときに私の頭にまず思い浮かんだのは、初心忘るべからず、という言葉でした。
慣れとはこんなにも人を変えてしまうのかと驚き、残念な気持ちにもなりました。
それと同時に、初心を持ち続けることの難しさも感じました。

みちくさ作文クラブは今日、4年目を迎えました。

初心、忘るべからず。

この言葉をまずは自分自身に向けて、4年目の日々を歩んでいきたいと思います。