こどものことば
- お酒を飲んでよっぱらった大人たちを見て思うこと。
ぼくのよっぱらいのイメージは、テレビドラマなどでみる、外をフラフラ歩く人です。お母さんやお父さんは、よっぱらうとフラフラするか分からないけど、顔が赤くなっていつもより陽気な感じになります。(特にお父さんは。)ぼくは、お母さんやお父さんのように、陽気な気分になる分にはまだいいけれど、ドラマのようなフラフラするよっぱらいにはなりたくないなぁと思います。
ぼくは、炭酸水を飲みながら、ポテトチップスを食べておいしいなと思う事があります。だから大人も同じ気持ちでたまにお酒がのみたくなるのかなと思います。ぼくはお酒を飲んだ事がないので、フラフラに歩くくらい、お酒をのんでよっぱらう人の気持ちは分かりません。だからぼくがおとなになってお酒を飲める年れいになったらお酒を飲んで、少しでもよっぱらう人の気持ちが分かりたいなぁと思います。
ちなみにお母さんは、真夏の暑い日にキンキンに冷えたビールを飲むのは格別だと言っています。先生にとっての格別なお酒の一ぱいはありますか。(ぼくのピアノの先生はお酒を飲まないそうです。)
2022年03月13日
(この作文への講師からのコメント)
最初にご質問にお答えすると、夕方、仕事を終えて、家で夕日を見ながら飲むお酒は、ビールであれワインであれ、私にとっては格別の一杯でした。「でした」と過去形になっているのは、今はほとんどお酒を飲まないからです。なぜ飲まなくなったかというと、ある日突然、「ああ、もう一生分飲んだな。お酒はこれでもうおしまい。」と思ったからです(笑)。今は、親族や友達と集まったとき、乾杯の一杯ぐらいはおつきあいで飲むことはありますが、それ以外はほとんど飲みません。けれども、なんといっても一生分は飲んだ身ですから、○○くんのお母さんのおっしゃる、真夏に飲む冷えたビールのおいしさはとてもよくわかります。このお母さんの子どもである○○くんも、大きくなったらきっと、お母さんのお気持ちがわかるのではないかと思います。
さて、作文ですが、お題について自分なりによく考えて書けていました。テレビドラマで見たことと、実際に見たお父さんやお母さんの様子を比べて思ったことを書いたり、自分が炭酸水とポテトチップスを食べるときの気持ちをもとに、お酒を飲んでよっぱらう人のことを想像したりと、具体的に考えることができていた点がとてもよかったです。こういうふうに具体的に考えると、作文はとても書きやすくなると思います。これを別の言葉で、「題材(お題)を自分に引きつけて考える」と言います。自分に引きつけて考えることができると、書きやすくなる上に、自分にしか書けない作文に仕上がることが多いです。そしてこういう作文は、読む人にとってもおもしろいものです。実際、今回の○○くんの作文は読んでいてとても楽しかったです。
これに対して、お題を自分に引きつけることができていない場合は、書くのに時間がかかったわりには、読む人にとっておもしろいと感じられない作文になることが多いです。なにより、書いた本人がおもしろいと感じられないことが多いです。ですから、いったん書き始めて自分でもおもしろくないなと感じたら、思いきって別のお題に変えるのもひとつの方法です。「せっかくここまで書いたのに……」という気持ちを捨て、新たなお題に取り組んでみたら、自分との接点が見つかってあっという間に書き上がる、ということもよくあることです。「今週の物語・表現」で文章のリズムについて学びましたが、このリズムは、書いている人のわくわくした気持ちと結びついて生まれることも多いです。生き生きとしたその気持ちに乗って言葉が生まれてくることもあるのですね。ですから、ものを考えたり書いたりするときは、自分の心と頭が元気なときにするといいかもしれません。