お知らせ
2025年05月04日
8年目を迎えて
この5月で、みちくさ作文クラブは8年目に入りました。
これまで、私自身その時その時にできることをしてきましたが、やはり多くの方々のおかげでここまで続けることができたと言えます。
そういう方々のうちの一人が、当ホームページの【メッセージ】の欄にも登場する小学校時代の恩師です。
この先生は、当クラブの運営や継続に直接力を貸してくださったということではないのですが、私がこの講座を続けていける原動力というものの、その形成に大きな影響を与えてくれたように思います。
このことに気づいたのはつい最近のことでした。
先生(I先生)は私の小学校3、4年生の時の担任の先生で、当時、私の書く日記を毎日みてくださっていました。朝、登校時に教室の先生の机の上に日記帳を出しておくと、その日の下校時までにコメントを書いて返してくれました。そのやりとりが私はただ楽しくて、一日、また一日と日記を書くことを続け、気がつくと文章を書くことが好きになり、やがて少しずつ上達もしていきました。
当時のことを振り返るとき、私はいつも、私自身は書くことを通じて楽しみや成長を得られたけれど、I先生はさぞお忙しかっただろうな、よく毎日みてくださったな、と思ってきました。
現在、I先生は90歳近くになられ、ありがたいことに今でもときどき電話でお話しさせてもらうのですが、そのたびに先生は私に、「作文のお仕事はどうですか?」「大変でしょうけれど、いいお仕事ですね。」「生徒のみなさんの成長を感じられるのは楽しいでしょうね。」といった言葉をかけてくださいます。
この言葉を聞くたび、いつも気にかけてもらってありがたいな、と思っていたのですが、つい先日、電話でお話ししたあと、「もしかしたら、当時の先生もこういう気持ちで私の日記をみてくださっていたのかな?」とふと思いました。
日々忙しい中でも、生徒が書いた日記読み、感想を書くことを楽しみとし、続けていくうちに文章に変化や成長が見られれば、それもまた楽しく思う。
そうやって先生ご自身が楽しんでいたからこそ、私も楽しく続けられたのではないか。そう思ったのです。
だからこそ、「継続は力なり」などという言葉を知る前に、ただ楽しいから続け、続けるうちにできるようになっていくという体験を、私は自然と積み重ねていくことができたのではないかと思います。そしてこの原体験こそが、このみちくさ作文クラブを続けていく原動力につながっていることに気づいたのです。
冒頭で、みちくさ作文クラブはこの5月で8年目に入ると申し上げましたが、試行期間も含めると10年ほどになります。自分一人で運営から添削まで行うこの仕事にまったく苦労がないと言えば嘘になりますが、それでもなぜここまで続けてこられたかというと、やはり楽しいから、その一言に尽きます。
日々、お子さんたちの文章を読む。
ときには、文意を探って考えあぐねる。
一回の添削で何を伝え、何を伝えないのかを決める。
長期的に見て、どのタイミングで何を伝えるのかを考える。
お子さんの年齢や性格に合わせて、頭と心に届きやすい言葉を探す。
どれも、ときに苦労を伴い時間もかかりますが、それでも根底にはいつも楽しさがあるように思います。添削の最中は必死で、自分が楽しいと思っていることに気づく余裕はあまりありませんが、終わってみると、いつも確かな手ごたえのようなものが残り、そこから、「ああ、今日も楽しく過ごすことができた……」と思える、そんな日々を重ねて来たように思います。
そういう日々の始まりに、自らも(おそらくは)楽しみながらものごとを教えてくれた、遠い日のI先生の姿があります。
学ぶことは楽しい。
教えることを通して学ぶこともまた、楽しい。
言葉ではなく態度でこのことを教えてくださったI先生への感謝の気持ちを新たにし、そして、これらの「楽しい」をこれからも自身の原動力にして、8年目の日々を歩んでまいります。